事例の背景
「税理士さんに聞いても、いつも『数字は合ってますよ』としか言われないんです。でも、私の手元にキャッシュが残らない。このギャップは何なんですか?」
東京で精密金属加工業を営む2代目社長のK.T様は、焦燥感に駆られていました。先代から引き継いだ顧問税理士とは30年来の付き合いがあり、記帳代行や税務申告には何の問題もありません。しかし、製造現場のDX化や新規設備の導入を検討する際、その「投資判断」を相談できる相手がいなかったのです。
K.T様は、自らExcelを駆使して資金繰り表を作ろうと試みました。しかし、現場の仕掛品や材料費の変動、売掛金の回収サイクルなどが複雑に絡み合い、計算するたびに数字がズレていきます。深夜まで事務所でパソコンを叩き、「この数字で本当に合っているのか?」と疑心暗鬼になる日々。従業員には「経営は順調だ」と虚勢を張るものの、内心では将来の資金ショートへの恐怖が消えませんでした。
「このままでは、勘と経験だけで会社を潰してしまうかもしれない」。そうした強い危機感から、既存の税理士との関係は維持したまま、経営管理に特化したセカンドオピニオンとして、当事務所へ相談しようと考えるようになりました。
当事務所からのご提案
K.T様のお悩みは、多くの中小企業経営者が直面する「税務上の利益と手元資金の乖離(かいり)」です。税理士は「過去の数字」を正しく集計するプロですが、公認会計士は「未来の意思決定」のために数字を組み替えるプロです。そこで私は、既存の顧問税理士との役割分担を明確にしたうえで、以下の3段階のロードマップを提案しました。
① 現状の「資金の詰まり」を特定するキャッシュフロー分析
まずは、過去3年分の決算書と直近の試算表を解体し、「どこで現金が寝ているか」を可視化しました。K.T様の場合、在庫管理がルーズで、不要な原材料が倉庫に滞留していることが判明しました。 「節税のために多めに仕入れる」という従来の慣習が、実は首を絞めていたのです。これを是正するため、月次の資金繰り表を「収支ベース」で作成し、毎月の現金の増減を1円単位で把握する体制を構築しました。
② 部門別・製品別採算管理の導入
次に着手したのは、どの製品が利益を生み、どの製品が赤字を垂れ流しているかの特定です。精密加工の世界では、手間がかかる割に粗利が低い仕事が混在しがちです。 当事務所では、現場の作業時間と経費を紐付け、製品ごとの「真の利益」を算出しました。これにより、K.T様は「どの顧客からの注文を優先すべきか」「どの設備投資が最短で投資回収できるか」を、感情ではなくデータで判断できるようになりました。
③ 金融機関との「攻め」の対話支援
さらに、融資を受ける際のスタンスも変えました。これまでは「足りないから借りる」という後ろ向きな相談でしたが、当事務所が作成した「中期経営計画」を携えて銀行へ同行。 「この設備を導入すれば、生産効率が〇%向上し、〇年で返済できる」という論理的な説明を行った結果、金利の引き下げと、長期での運転資金確保に成功しました。
セカンドオピニオンとしての介入は、既存の税理士さんの仕事を否定することではありません。税務は守り、会計は攻め。この二段構えが、経営者にとって最大の安心材料になるのです。
お客様の声
「正直、顧問料とは別に費用が発生することに迷いはありました。しかし、今の私なら断言できます。あのまま一人でExcelと格闘し、間違った投資を続けていたとしたら、失っていた金額は顧問料の比ではありませんでした。
先生は、税理士さんが作ってくれた『過去の数字』を、私たちが明日からどう動くべきかの『武器』に変えてくれました。何より、銀行への同行で、支店長がこちらの計画に納得してくれた時の高揚感は忘れられません。
もし今、私と同じように『税理士さんはいるけれど、経営の相談ができない』とモヤモヤしているなら、すぐに相談すべきです。専門家の視点が入るだけで、経営の霧がこれほど晴れるとは思ってもみませんでした。今は自信を持ってアクセルを踏めています。」